物語文の読解力を鍛えるための正しい本の選び方

本を沢山読ませているのに、物語文の点数が上がらないという悩みをよく聞きます。

物語文が解けないケースは、感情の因果関係が追えていないことが原因です。例えば、「かわいそう」という言葉とその原因となるストーリーがつながっていないと、その言葉が内面化されていないので、感情を実感することができません。そうすると、相手が今つらい思いをしていることがわからないので、簡単にひどいことができてしまいます。これが発展するといじめにもつながります。これは一見日常生活の問題のように思われますが、読書による段階的な感情的な深まりによってしか鍛えることができない能力です。

この能力を伸ばすためには、子どもが理解できるいちばんやさしい児童書を与え、喜んで読書に取り組める環境を作ることが大切です。 親は大人目線で難しい本を勧めたり、受験でよく出題される本や名作を与えがちですが、そういった作品はほとんどの場合、高度な感情理解が必要なので、感情のステップ学習には向いていません。

家庭で与えたほうがいい本の目安としては、低学年では『かいけつゾロリ』、『ぼくは王さま』など、そして徐々に難しいものに進んで、『ズッコケ3人組』を自力で読んで楽しめていれば、基礎的なトレーニングは完了していると思って大丈夫です。

お子さんが自力で読むのが難しい場合は、小学校何年生であっても読み聞かせをしてあげて、自力で読めるまで見守ってあげてください。読み聞かせする際に気をつけるのは、お子さんが楽しんでいるかを確認すること、さりげなく内容が理解できているか確認することです。子どもが楽しんでいないようなら本の質が悪いか、子供の国語力とかけ離れているかのどちらかなので本を変えてあげてください。楽しい本が見つかれば必ずそこからお子さんの国語力は上がっていきます。 子供は生まれつき本が好きです。しかし、生まれた後に楽しくない読書を押し付けられてしまうととたんに本嫌いになってしまいます。何よりもまず「子供が楽しんでいるか」を基準に本を与えて、お子さんの成長を信じてあげてください。