40歳で起業した女性社長が語る – 誰でもイノベーティブなアイディアを商品化できる方法

代表取締役社長 直井明子 – プロフィール

代表の直井は、国語の教師を目指していましたが、学校教育の限界を感じ、教員の道を諦めました。

その後結婚して、主婦業の傍ら塾などの民間教育をオタクのように研究。しかし、満足のいく教育方法を見つけることができませんでした。そのため、幼児教育の手法をもとにした独自メソッドを開発するべく、自ら塾を立ち上げることを決意しました。

しかし、専業主婦歴17年のため、ビジネスを全く知りませんでした。そのため、女性起業塾で勉強し、作文の通信教育を行うビジネスプランを発表したところ、テレビの目に止まり、取材を受けて100人の体験生徒が集まりました。 作文指導のみでは国語力を伸ばせないケースがあったため、総合的に国語力を伸ばす塾を公民館を借りて開催。すると、その取組に目をつけた女性編集者からの国語力育成に関する本のオファーをもらい、彼女と本を作っていく過程で新たな国語力育成メソッドが固まり、そのメソッドを多くの人々に届けるべく、自由が丘に塾を立ち上げました。

専業主婦であるにも関わらず起業した背景には、発明家の父から受けた影響が大きいです。電機メーカー勤務時に自動販売機の営業部門に在籍しながら、セブンティーンアイスの自動販売機を考案した父。退職後も様々なメーカーでアイデア商品を世の中に提供していました。例えば、スーパーに設置されている逆浸透膜を使った純水自動販売機、QBハウスのオペレーション開発など。このように、自動販売機をビジネスモデルとした誰にも真似できない発明をしている父を見て、突出したアイデアによるビジネスの作り方を学びました。そして、自らも同じようなビジネスモデルの会社を創りたいと志し、起業を決意しました。父のアイディアはコモディティ化され、保護されないことも多々あったので、自身は特許などの知財を多数登録しています。


斬新な商品を発想するための思考力の鍛え方

イノベーションを志向した商品開発では、躓くポイントが3つあります。(1)会社内で斬新なアイデアがあった場合に無難な多数派の意見に引っ張られて企画段階で芽が出ないこと(2)企画ができたとして、商品化するまでの思考ができないこと(3)商品ができたとして、そのマーケティングがうまくいかないこと、です。

1つ目に対する対策は、ブレーンストーミングをできる環境を作ることです。ブレーンストーミングは相手のアイディアを否定しないのが基本ですが、これができる日本人は圧倒的に少ないです。日本人は常識を気にし、常識から外れたアイディアに対して否定する態度を取ってしまいがちなので、企画会議ではブレーンストーミングの「否定しない」というルールを徹底すべきです。 実際に商品化可能なアイディアは既存の組み合わせであるので、それ自体は難しいものではありません。なるべく異業種から組み合わせることがイノベーションにつながります。

企画ができたら次は商品化することですが、それには実現までのステップを思考で埋めていく必要があります。ここでも、これまでに無いものを考えなければいけないので、ブレーンストーミング的な発想が必要とされます。 ブレーンストーミングによるアイディアは瞬間的に生じるものではなく、大変な試行錯誤の過程になるので、一見生産性が落ちているように見えてしまいますが、それを容認する環境が必要です。多くの発明家や研究者が言うように、そのプロセスさえあれば解決策は一瞬で浮かぶはずです。この経験を多く積むことで、イノベーティブな思考経験値が上がっていきます。これと同時に必要なのは因果関係を逆向きにたどるステップです。

3つ目の解決策としては、企画段階でマーケティングを組み込むか、プロダクトアウト+マーケットインを行うかのどちらかになります。前者は、例えば父が行った自動販売機ビジネスモデルのように価格を極限まで安くできるという要素が入っている場合であり、比較的成功しやすいです。後者の場合は、プロトタイプを販売しながら、ビジネスモデルを調整していく必要があります。マーケットに対する深い理解が必要で、PDCAサイクルによってビジネスモデルを完成させる必要があるため、難度が高くなります。